2020年11月4日水曜日

草凪みずほ 暁のヨナ 10巻

ヨナという存在がテジュンを変えます。ヨナを通して彩火の都からでは見えない様々な現状を知り、火の部族の発展、未来について考え始めます。

テジュンに自覚が芽生え、自分に出来ることを今すぐ行おうとします。

ヨナによく思われたいという下心はあるけど、ヨナのために一生懸命なところが面白かったです。

ゼノが、

「ひとつ予言 兄ちゃんはこの高華国にとって きっと大きな存在になるよ」

と言います。火の部族長の次男がどんな人物になるか楽しみです。




キジャに投げ飛ばされ、テジュンは役所で目覚めます。賊よりも聞こえてきた声の主が気になって仕方ありません。

ヨボヨボだったテジュンは声の主を特定したい一心で急に行動的になります。賊を捕えるためにやる気がみなぎってきたと勘違いしている部下の士気は上がります。

テジュンは単独で加淡村に偵察に行くと言い出します。

部下は兵を集め先頭に備えると言い、テジュンに危険がせまったら使ってと烽火(のろし)を渡します。烽火が上がったら加淡村を総攻撃しますと伝えます。


テジュンは加淡村に入るとすぐにキジャに捕まってしまいます。

キジャにすれば座り込んでいるテジュンを見かけたのでユンに見てもらおうと担いで連れて行ってるだけなのですが、

テジュンにすれば早々に賊の一味に捕えられてしまったと思っています。

キジャが連れて行った先にはゼノがいました。ゼノはテジュンが何者かわかっているようです。

テジュンのそこで村の惨状を目にします。火の部族が悲惨な状況になっていると信じられないようです。

テジュンの探している声が聞こえます。必死に探しても見つかりません。日が暮れたので宿を探すことにします。宿どころか店すら見つかりません途方に暮れていると遠くに火が見え、急いで行くと、焚火が見つかります。寒くて凍えそうだったので火が有難く、人がいたので顔を見るとハクでした。びっくり仰天で、ハクが生きているということは…、もしかしてヨナ姫も…、と声の主がヨナである可能性が大きくなって喜ばしいところなのに、ハクのもとからいち早く逃げ出したくて立ち上がります。

ユンがやって来ます。テジュンはさらに動揺して抱えている荷袋から烽火を落としてしまいます。足もとには火があり、烽火に着火して空に舞い上がります。

テジュンは音を立てて打ちあがった烽火を見て、どういう合図であったか思い出し、慌てて逃げ出します。

ハク相手に逃げられるわけもなく、テジュンはおさえつけられます。


シンアは空が光ったことに気がつき、たくさんの兵が加淡村に向かっていることをキジャとヨナに知らせます。


ゼノがハクとユンのもとにやって来てシンアが言ったことを知らせます。

テジュンはハクに釈放してくれと言います。烽火は間違って上がったので兵達を止めたいのだと言います。

ハクはテジュンのことはこれっぽっちも信用していないので帰したら「俺ら」が生きている事が火の部族長や緋龍城に伝わると言います。

テジュンは「俺ら」と言ったハクの言葉に、

「あっ あの方は ヨナ姫はっ やはり生きておられるのか!?」

とハクに尋ねます。

ハクはテジュンを無言で見つめます。代わりにゼノが、

「生きてるよ 娘さんは一番元気だから」

と答えます。

テジュンの喜びの涙があふれます。


ヨナがやって来ます。

テジュンは平伏してヨナの声を聞きます。烽火は誤りで兵達を止めたいから釈放してほしいと願い出ます。

最後に会った時とは別人のテジュンにヨナはまた何かありそうだと警戒します。しかし、顔を上げて見せたテジュンの表情はその緊張感を台無しにさせました。

ヨナはテジュンの表情に笑いがこみ上げてきて、要求を受け入れます。


兵達が村から見える距離にいます。

ヨナはテジュンに、

「見ているから誠意を示して」

と言います。

テジュンは火矢が飛んでくる方向に全力で走っていきます。

兵側ではこちらに向かってくる人影が見えたので弓を止めます。

テジュンは火傷を負いながら兵達の元に辿り着きます。

「加淡村に 今 賊はいない」

「烽火は誤って上げた」

「手違いで騒ぎを起こしてしまい すまない」

テジュンは兵士に言うと、兵は引き揚げていきます。



それから数日たち、テジュンはもぬけの殻状態になってしまいます。寝ても覚めてもヨナ姫に会いたい。そればかり考えています。朝食を食べていると、加淡村には食料がなかったことを思い出し、それじゃあヨナ姫の食事は? と心配を始めます。思い立つと、自分の朝食を包んで加淡村に向かいます。

村に入るとすぐにハクに見つかります。ヨナに取り次いでほしいと頼み、再びヨナに会います。ヨナに差し入れを持ってきたと包みを渡します。

ヨナは包みの中の食べ物をすぐさま村人に与えてしまいます。

テジュンはその光景を見て本当に村の人たちに食事が行き届いていないことを知ります。役所に戻ると今度は兵舎の食料を馬に乗せ、また加淡村に届けます。ヨナの笑顔を見るために一生懸命です。

ヨナを眺めながらユンと話していると、かみ合わない会話を察してヨナが、

「テジュン 私 村の人達の様子を見に行くんだけど 一緒に来る?」

と自分が感じたことをテジュンにも見せようとします。

ヨナは王宮では気づけなかった視点をテジュンに説明します。

テジュンも次第にヨナがなぜこのようなことに取り組んでいるのか理解し始めます。

役所に戻ったテジュンは部下を労わります。会話の中から火の部族のために自分だから出来ることを模索します。



それからもテジュンは偵察と言う名目で何度もヨナのところに訪れます。加淡村よりひどい有様の村を目にしたときテジュンはユンに相談します。

テジュンは部下をつれて荒れ果てた村を訪れ、突如この地を賊討伐対策本部を設置するとすると宣言します。

この地に賊「暗黒龍とゆかいな腹へり達」」が現れるという情報があり本部を設置したいのだが、病気になるのは嫌だから、まず、皆でこの地を整備し清潔な水場を作り医術士を呼んで病人を介護せよと言い出します。

テジュンにしかできないことを見つけました。

ヨナに嫌われたくないために全力で働いている動機が不純なテジュンを見る部下たちは理由がわからないけど、賊を捕えるため火の部族のために頑張っていると映り、ついていく決心をします。



次第に病気が減り、活気があるとまでは行かなくても、笑う人がちらほら出てきました。

ヨナは次の行動に出ます。

この土地でも育つ作物を探しに行くというのです。

ヨナはテジュンにお別れを言いに来たのと、

「テジュン 託してもいいかしら あなたに 火の部族の皆を守って」

と言います。

テジュンはヨナのためにこの地を美しくすると誓います。




テジュンの側近フクチはテジュンが変わっていく様を見てどう思っているんだろう。

ヨナが個人に影響を与えその人柄を変えていく過程がとても面白かったです。

続きます。



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